2015年12月2日水曜日

あなたはこうやって小規模量産に失敗する

enchantmooon終了のお知らせ

Amazonよりenchantmoonの使用例

発表~発売前まではてな村あたりで盛り上がりをみせたenchantmoonだが3年で収束
基本設計はさておき量産時にかなりトラブっていた様子
海外生産委託って怖いなあ…と再確認させられる感じ

以下は小規模ハードウェア開発/量産におけるトラブル要因についてのメモ


・クラウドファンディング型の資金調達による弊害

 →資金は集まるし注文数は確定するし良いこと尽くめに見える
  問題はそれらがすべて公開されていること
   ・資金の総額
   ・注文数
   ・発売日
  正確な数字が全部バレてしまう

  サプライヤーや生産委託相手に
  どれだけ必要か?どれだけ出せるか?いつまでに必要か?
  といった手札をオープンして交渉に挑むことになる
  そしてめちゃめちゃ足元を見られてしまう
  設計は順調だったのに量産で見積もりを大幅超過するパターンはこれ

  早期の事前予約(と予約数の公開)も同様のリスクがある


・設計試作の段階で完成した気分になる

 →ハードウェアの開発ではざっくり以下のようなステップを踏む

  原理試作:
    →原理検討を行うための試作
     メインの機能が実現可能かの検討
     未完成の部分があってもよい

  設計試作:
    →設計側での最終品
     部品は量産品同等のものを用いる
     設計作業はほぼ終了

  量産試作:
    →量産工程が妥当かどうかの確認
     生産ラインを実際に動かして少数生産を行う
     最終製品が要求品質を満たすかを確認
     →確認後量産開始

  各試作で問題が発生した場合は修正が必要になる
  設計試作終了時点で最終製品同等の試作機が手元にあるため、開発が完了したかのような錯覚に陥る場合がある
  実際は開発の折り返し地点に過ぎず、このまま量産できる保証はまったくない

  設計試作機の時点で露出を増やして受注を取る
   →量産試作で問題が発生して仕様を変更する
     →受注時点と別物が届いてクレーム

  というお約束パターンがある


・修正に必要なコスト感覚が無い

 筐体 > (メカ) > 電気 > ソフト
 の順に修正(変更)コストが高い

 新規参入の場合は特に筐体の金型変更のコストを見誤ることが多い
 ソフトウェアの感覚で安易な手戻りを許すと開発自体が破綻しかねない
 また、ソフトの市場トラブルはファーム配布で済むがハードの市場トラブルは回収以外の修正方法は無い


・生産委託相手に丸投げしてしまう

 性善説的な考えで生産委託相手にほぼ全権委任してしまうパターン
 高確率で失敗する
 (特に海外)

 要求される品質を守って生産する、という原理原則で動く相手に対して
 品質の設定まで委任すればガラクタが山積みになるのは自明である

 量産試作で立ち合いを行わない場合も同様
 まともな試作機が届いて安心していたら実はまだライン組んでませんでした!
 送ったのは現地の技術者が組んだスペシャル品でした!
 みたいなオチも


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